2019年春、日本経済団体連合会の中西会長とトヨタ社長の豊田社長がおっしゃった、終身雇用についての発言をご存知でしょうか。
中西会長も豊田社長もこれからの経済の中で終身雇用制を維持するのは難しい、とおっしゃっています。また豊田社長は、インセンティブがない、とも。
インセンティブとは、人間の行動や意思決定を変えさせる原因となるもの。これから会社を選ぶ学生にとって、『終身雇用』してくれる会社であるということは、何も意味を持たない、魅力ではない、ということなのでしょう。
ですが、現在の40代の会社員の方はわずかなりとも、終身雇用が実現されるのかどうかというところにメリットを感じて約20年前、会社を選ばれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方に迫ってきている早期退職という言葉。実際に早期退職すると、年金がどう変わってくるのかシュミレーションしてみます。
目次
28歳で早期退職し起業した独身のAさん…72,000円/月
まずは、20代後半の独身の方が厚生年金などの福利厚生のある企業に勤めた時の場合を見ていきます。
一度は企業に就職したものの、会社というものにがっかりし、フリーランスや起業、独立を選ばれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インターネットビジネスの世界には、そんな会社にがっかりし起業した人がたくさんいるような気がします。20代後半でフリーランス、起業、独立などをしたことから厚生年金から外れたAさんの65歳以降にもらえるであろう公的年金の金額を計算してみます。
あくまでも、2019年5月現在のシュミレーションですので、十数年後同じ金額が受け取れるとは限りません。
Aさんは大学卒業し、退職時の年収350万円とします。65歳以降に受け取れる年金合計は1か月72,000円。内訳は、老齢厚生年金8,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。
45歳で早期退職し起業した独身のBさん…95,000円/月
企業から肩をたたかれやすい年齢が40代だそう。企業での40代となると、勤務経験が長くなり、お給料も高くなってくるでしょう。
では、45歳のBさんの場合を見ていきましょう。Bさんは、高校卒業後45歳まで一つの企業で働いています。年収は350万円。結婚はしておらず、独身です。
独身のBさんが65歳以降にもらえる公的年金は、1か月95,000円。内訳は、老齢厚生年金31,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。
45歳で早期退職し起業し、妻(パート)と子供2人いるCさん…167,000円/月
次に45歳で早期退職し、自らのビジネスで起業したCさんについて見きましょう。Cさんには、同じ年の共働きの妻と子供さんが2人いるとします。
Cさんは、大学卒業後45歳まで企業で働き、45歳で早期退職。大学卒業の妻も45歳で結婚前(22歳から30歳)までは企業で働き、結婚後は育児に手が離れるころからパートをしています。
子供がいても年金の計算には特に変わりはありません。
Cさん夫妻が65歳以降に受け取ることの出来る公的年金の1か月分の金額は、合計167,000円。
内訳はCさんが、老齢厚生年金35,000円、老齢基礎年金64,000円。Cさんの妻は、老齢厚生年金4,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。
45歳で早期退職し、妻と2人暮らしのDさん…166,000円/月
サラリーマンの方の中には、『アーリーリタイア』が夢、なんて方もいらっしゃるかもしれません。そんな若くして働かない生活を手に入れるには、億を超える貯金があれば安心でしょう。
そして中には家賃収入もあるし、相続した財産もあるし、働かなくても生活できるなんて方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方が45歳まで企業で働き、早期退職(アーリーリタイア)されたすると、65歳になって受け取ることの出来る公的年金はいくらとなるのでしょうか。
高校卒業後18歳から45歳歳まで企業で働いていたDさん。退職するときの年収400万円、家族は、妻との二人暮らし。妻は、45歳で高校卒業後18歳から25歳まで企業で働き、結婚退職し、パートをしていてパート年収100万円あるものとします。
Dさん夫妻が65歳になった時に受け取れる公的年金の1カ月の合計金額は、166,000円。内訳は、夫Dさんは、老齢厚生年金35,000円、老齢基礎年金64,000円。
Dさんの妻は、老齢厚生年金3,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。
45歳で早期退職しフリーランスになったEさんと企業に勤める妻の2人暮らし…231,000円/月
45歳で早期退職したEさんと企業に勤め続ける妻という夫婦の公的年金について見ていきましょう。
Eさんは、高校卒業後18歳から45歳まで企業で働き、退職するときは年収400万円。Eさんの妻は45歳。高校卒業後18歳から60歳の定年となるまで一つの企業で働き続け、Eさんの奥さんの退職時の年収は400万円とします。
Eさん夫妻が65歳で受け取れる公的年金1か月分の金額は、合計231,000円。内訳は、夫のEさんが、老齢厚生年金35,000円、老齢基礎年金64,000円。
Eさんの妻は、老齢厚生年金68,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。一つの企業に勤め続けた奥さんの方が老齢厚生年金は、高くなります。
45歳で早期退職し、すぐに転職したFさんと共働きの妻の年金…282,000円/月
大学卒業後22歳で企業に就職し、45歳で最初の会社を早期退職。その後すぐに別の企業に転職し、60歳の定年まで勤務し続けたFさんの場合を見ていきましょう。
Fさんの妻は、共働きで大学卒業後から定年となるまで企業に勤務していたとします。夫のFさんの退職時の年収は500万円、妻の退職時の年収も500万円とします。
Fさん夫妻が65歳になった時の公的年金の支給金額は夫婦合わせて、1か月282,000円。その内訳は、夫のFさんは、老齢厚生年金75,000円、老齢基礎年金64,000円。
Fさんの妻は、老齢厚生年金79,000円、老齢基礎年金64,000円となっています。
まとめ
『早期退職すると年金はいくら減額?年齢別・独身既婚子供有無など状況別にシュミレーションしてみた!』としてまとめてきました。
表にまとめてみるとこのようになります。
本人(夫) | 妻 | 合計 | |
Aさん 28歳早期退職/独身 |
老齢厚生年金8,000円 老齢基礎年金64,000円 計72,000円 |
ー | 72,000円 |
Bさん 45歳早期退職/独身 |
老齢厚生年金31,000円 老齢基礎年金64,000円 計95,000円 |
ー | 95,000円 |
Cさん夫妻 45歳早期退職・起業 妻(企業・パート) |
老齢厚生年金35,000円 老齢基礎年金64,000円 計99,000円 |
老齢厚生年金4,000円 老齢基礎年金64,000円 計68,000円 |
167,000円 |
Dさん夫妻 45歳早期退職 妻(企業・パート) |
老齢厚生年金35,000円 老齢基礎年金64,000円 計99,000円 |
老齢厚生年金3,000円 老齢基礎年金64,000円 計67,000円 |
166,000円 |
Eさん夫妻 45歳早期退職・フリーランス 妻(正社員) |
老齢厚生年金35,000円 老齢基礎年金64,000円 計99,000円 |
老齢厚生年金68,000円 老齢基礎年金64,000円 計132,000円 |
231,000円 |
Fさん夫妻 45歳早期退職・転職 妻(正社員) |
老齢厚生年金75,000円 老齢基礎年金64,000円 計139,000円 |
老齢厚生年金79,000円 老齢基礎年金64,000円 計143,000円 |
282,000円 |
45歳で企業を退職すると、2019年の調べですが、公的年金は1カ月99,000円。定年まで勤めたとしても139,000円。28歳で退職したとすると、72,000円となります。
老齢厚生年金の1カ月での違いは数万円程度ですが、積もり積もると、大きな違いとなりそうです。それに公的年金は、人生が終わるまで受け取ることの出来る終身年金。終身であるということ頃はとても心強いのではないでしょうか。
28歳で企業を退職するのか、45歳で退職するのかで1年で324,000円の違いがあります。25年間受給し続けたとすると、800万円以上の違いとなります。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。