日本に暮らす20歳以上の成人には、国民年金に加入する義務があります。20歳以上というと、まだ就職する前の大学生や専門学校生である人もいるでしょう。
学生の人たちの中には、アルバイトをしたりして収入を得ている人もいるかもしれません。収入があると言っても、生活のために収入を得ていて、国民年金の支払いが難しい場合もあるのではないでしょうか。
アルバイトをしながらでも、国民年金の支払いを先延ばしすることが出来る制度が、学生納付特例制度。収入のほとんどない学生の国民年金の支払いを助けるための制度です。
そんな制度には、被保険者本人の所得に関する基準があります。
目次
年金は学生バイトの所得がいくらだと猶予になる?
国民年金の学生納付特例制度を受けるためには、20歳以上の学生本人のアルバイトによる所得額が一定以下である必要があります。
学生が国民年金の支払期限を先延ばしすることの出来る学生納付特例制度。学生納付特例制度を受けるためには、扶養する親族が無く、社会保険料の控除もなければ、アルバイトによる所得が118万円以下である必要があります。
学生納付特例制度を受けるためには、下記のような『国民年金保険料学生納付特例申請書』を提出する必要があります。

『国民年金保険料学生納付特例申請書』の記入の際に迷うのが、『前年所得』の項目かもしれません。
アルバイト収入金額に応じた事例を解説していきます。
アルバイト代48万円の場合
20歳を超える扶養家族が無い学生のアルバイト代が48万円である場合には、給与所得は、0円となります。なので、『国民年金保険料学生納付特例申請書』の記入の際には、『前年所得』は『1.なし』に印をつけます。
アルバイト代90万円の場合
20歳を超える扶養家族が無い学生のアルバイト代が90万円である場合には、給与所得は、0円となります。なので、『国民年金保険料学生納付特例申請書』の記入の際には、『前年所得』は『1.なし』に印をつけます。
アルバイト代130万円
20歳を超える扶養家族が無い学生のアルバイト代が130万円である場合には、給与所得は、0円となります。なので、『国民年金保険料学生納付特例申請書』の記入の際には、『前年所得』は『1.なし』に印をつけます。
アルバイト代195万円
20歳を超える扶養家族が無い学生のアルバイト代が195万円である場合には、控除後の金額が118万3600円となります。
国民年金の学生納付特例制度を受けるための所得基準118万円を超えています。ですので、『国民年金保険料学生納付特例申請書』の前年所得は、『3.あり(118万円超)』に印をつけます。
学生納付特例制度を受けるための所得基準とは?
学生納付特例制度を受けるための所得基準額は、118万円以下となっています。この金額は、扶養親族などがいない場合の基準額です。
社会保険料の控除を受けた後のアルバイト代で118万円以下にするためには、収入は、194万4,000円までに抑える必要があります。
アルバイトによる給与 | 所得控除後の給与 |
194万円~194万4,000円 | 117万8,000円 |
194万4,000円~194万8,000円 | 118万800円 |
194万8,000円~195万2,000円 | 118万3,600円 |
国民年金保険料の免除と猶予の違いとは?
そもそも国民年金保険料の制度の1つ、学生納付特例制度は、収入のほとんどない20歳以上の学生の国民年金保険料の支払いを先延ばしするという制度です。
猶予と免除、という言葉を混同してしまいがちですが、猶予と免除とは、言葉の意味が異なります。
『猶予』とは、国民年金の場合で言うと、払い込む必要のある国民年金の支払期限を、学生であるため収入がほとんどないので、収入が出来てから払えるように先延ばししましょう、という制度です。
対して、『免除』という言葉は、支払い義務のある保険料の支払い義務を無くしましょう、というもの。『猶予』と『免除』とは、意味合いが異なるのです。
学生納付特例制度の場合は、『免除』ではなく『猶予』。のちのち、就職したりして収入が出来た時には支払いをしましょう、というものです。
その為、学生納付特例制度は、10年以内であれば追納として、猶予していた保険料を支払うことが出来ます。追納することで、老齢基礎年金を満額に近づけることが出来るのです。
ただ、猶予した2年度以内に支払いをすれば、加算額はありませんが、3年度以降となると国民年金保険料に加算額が加わります。
学生納付特例制度を利用した場合には、2年以内に支払うことを目標に出来るといいですね。
まとめ
『年金は学生バイト(所得)がいくらだと猶予になる?免除との違いは?』としてまとめてきました。学生であって、親などの保護者に国民年金の支払いをしてもらえる学生もいらっしゃることでしょう。
ですが、国民年金の支払いが難しいという方は、学生であれば学生納付特例制度を利用し、制度にのっとって、支払期限を延ばしてもらうのも一つの方法かもしれません。
未納のままほったらかしにせず、支払いを伸ばしたり、免除してもらったりときちんと手続きをすることは、とても大切です。
分からないことは、年金事務所やお住まいの地域の役所や役場へ聞いてみることをおすすめします。
特例を受けるための所得額や、受けられる学校については、年金の学生納付特例制度の所得基準額は?|猶予や免除・追納するには?の記事でも解説しています。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。